《調香師の香水手帖》
"Blue Violet'24"
お待たせしました。
小さな紫色の花、スミレです。
この香水は2011年に仕込んでいました。
その後に色々なバイオレットの香水を作りましたが、
13年前のブレンドが良かったと評価をいただきました。
アタシの調香師人生で最適な時期だったのかと思います。
この香水を作るのに必要な香料は、イリスの根茎から抽出された物です。
1893年に香気成分が発見されました。
それ以来ずーっとイリス香料でバイオレットの香水やキャンディーが作られています。
香気成分にはαイロン、γイロン、βイロンが入っています。
根茎には、わずか0.02%の香気成分しか含まれていません。
また、香料を抽出するまで3年〜5年の年月が必要です。
それゆえ香料の中で最も高額な香料です。
しかし、このイリス香料しかバイオレット香を放つ物はないのです。
香調はふくよかな紫色を思わせる
ベビーパウダリーな香りなのです。
そして、アタシの人生を捧げる事になった香料なのです。
富山県で無農薬栽培でのイリスを12年育て研究しました。
その後は、イロンの有機化学実験を始め現在も進化中です。
今回のブルーバイオレットは、スミレの生花の香水に比べて
エレガントで長く香ります。
秘密はイリス根茎にある香気成分のβイロンの生合成に成功したことで、
純度97%の天然と全く同じβイロンが入っています。
香調はフレッシュパワフルグリーン、
バイオレットフラワーノートが仕込んであります。
可愛いパープルな香りは控えめで上品です。
夢のプライベートジェットで行く楽園の香り旅です。
まこと虫